石澤商店
湯河原といえば柑橘、柑橘といえば石澤商店(いしざわしょうてん)。湯河原の地で半世紀以上にわたって柑橘問屋を営んできた同店を訪れた。

石澤商店はいつ訪れてもこのにぎわい
住宅街を歩いていると、緑と橙の派手な建物が見えてくる。それと同時に、威勢のいい声が聞こえ、柑橘のほのかな香りが漂ってくる。のぞくと、“代表取締役店長”石澤秀樹(いしざわひでき)さんを中心に、数人が忙しそうに走り回っている。

大口の予約に対応するため大急ぎで仕分けと箱詰めをする石澤さん
石澤商店では、湯河原を中心とした100軒以上の農家の柑橘類を取り扱っている。柑橘には数えきれないほどの種類があり、その中のミカンの中にもまた数えきれないほどの種類がある。
“おいしいミカン”は人によって違う。だから、品種や時期はもちろん、農家やその畑の特徴までを考慮して、お客に最適の商品を勧める。

季節にはこのようにミカンが山積みとなる

試食を勧めてくれるので遠慮なくどんどん試してみよう

レモンやキウイなどが並ぶこともある

柑橘にちなんだ物販も充実している
一番の繁忙期は12月。品種の主役が早生(わせ)から大津(おおつ)や青島(あおしま)に変わる頃。次々にお客が立ち寄り、購入・発送する。宅配便の集荷が1日に4回来ることもあるという。「石澤さんで買えば間違いない」正真正銘、これが信頼と実績だ。

発送を待つ箱

80代後半の先代(現会長)も現役!とにかく忙しい!

この鉄板は量りになっていてトラックごと重量を計測する

奥にある選果場も特別に見せていただいた
贈答用ではなく家族用・自分用に購入する場合、入口のザルがよい。見た目がイマイチないわゆるB級品だが、味はまったく問題ない。自分で食べるのだから、安くてうまい方がよいに決まっている。

このザルコーナーは300円
「柑橘=冬」思われがちだが、石澤さんいわく「一番おもしろいのは春」。聞いたことのない品種が見たこともない数で出回るのが春なのだ。それをダンボールに詰め合わせるとさながら宝石箱のよう。柑橘の町ならではの楽しみ方といえる。
石澤商店では生搾りジュースやソフトクリームなどを提供している。柑橘をさまざまな角度から楽しんでもらうための工夫だ。さながらジューススタンドのようになることもあり、さらなるにぎわいを作り出している。

横浜から買い付けに来たなじみ客のシェフとしばし談笑
観察していると、石澤さんを訪ねてくる人が多いことに気づく。石澤さんは「湯河原ブランド(made in ゆがわら)」認定委員会委員長や、「ゆがわら天体観測実行委員会」実行委員長なども務めている。名実ともに、湯河原になくてはならない人物なのだ。

2025年1月に開催された日本橋三越での物産展にて (画像提供:石澤商店)

石澤さんは湯河原を盛り上げるためならなんでもやる!? (画像提供:石澤商店)
そんな石澤さんに今後の展望をうかがうと「もっともっと若い人に就農してもらいたい」という答えが返ってきた。たしかに、柑橘問屋にとって柑橘が無ければ商売にならない。
しかし、石澤さんが見ているのはもっと先だ。湯河原が発展していくための原動力として柑橘はなくてはならないものなのだ。「自分たちにできることは何なのか」柔和な笑顔の奥で、石澤さんは常に考えている。
石澤商店
いしざわしょうてん
■住所:神奈川県足柄下郡湯河原町土肥2-16-4
■電話:0465-63-3212
■営業:9:00~17:00 (ジュース・ソフトクリーム L.O.16:00)
■定休:(日) (12月は無休)
■P有:5台(無料)
■決済:現金・カード・電子マネー・QR
■情報:Instagram・Facebook
JR湯河原駅 徒歩6分