浅井精肉店
湯河原にはあまたの旅館やホテルがある。その数だけ、それを支えている人たちがいる。浅井精肉店(あさいせいにくてん)もそうだ。
創業から半世紀以上、観光産業から地域の人々の食卓までを支え続けてきた。

重厚な金色の看板が歴史を物語る
浅井精肉店の朝は早い。宿泊施設への納品は当日におこなうことが主流となってきているため、朝5:30には納めに行く。

代表・浅井孝宏(あさいたかひろ)さん(右)を中心に黙々と包丁を動かす
9:00頃から15:00頃にかけてはおもに小売販売の時間となる。牛、豚、鶏、加工品から贈答品まで幅広く取りそろえている。何十年来のお客も多く、彼らの好みに合わせて商品を提案する。

精肉に加えて惣菜の販売もおこなっている
中でも浅井精肉店のローストビーフは有名で、ハレの日に買い求めるお客も多い。塩と胡椒のみでこの旨味。なるほど、本当においしい肉とはこういう肉をいうのか。

浅井精肉店といえばローストビーフ (画像提供:浅井精肉店)

「鴨とワインの煮スモークの薫りをのせて」 (画像提供:浅井精肉店)

ソーセージは真空パック

急速冷凍して風味を閉じ込める
15:00頃からは移動販売に出る。湯河原の豆腐の名店・十二庵と組んで近隣をまわる。
湯河原・真鶴は高齢化率が高く、買い物に行くことが困難な人も多い。それならばと自前のトラックで販売に出向くのだ。「首を長くして待つ」という表現があるが、お客はまさにそういう様子だ。
近年、浅井精肉店が危機に陥ったときがあった。新型コロナウイルス感染症の頃だ。観光産業が止まるという前代未聞の事態に同社も巻き込まれた。
どうしたか。なんと、新しい“ラボ”を建設した。惣菜を専門で作る場所だ。
それまでの移動販売で集めた声も活かした。「精肉に加えて惣菜も欲しい」という期待にこたえ、コロナ禍からのV字回復を果たした。「これからはもっと惣菜事業に力を入れていきたい」と浅井さんは意気込む。

このラボで食卓を彩る惣菜が開発されている
老舗の看板にあぐらをかかず、挑戦する心を忘れず、地域のためにできることをする。これが浅井精肉店だ。コロナ禍を経て、湯河原町における浅井精肉店の存在感はますます大きくなった。
浅井精肉店
あさいせいにくてん
■住所:神奈川県足柄下郡湯河原町土肥5-13-2
■電話:0465-62-5828
■営業:9:00~15:00 (日)8:00~11:00
■定休:(水)
■P無:0台
■決済:現金
■情報:Instagram
JR湯河原駅 徒歩8分
「湯河原駅」バス停 → 2分 → 「宮下」バス停 → 徒歩0分