きもの すずき
着物を身にまとって湯河原の温泉街をそぞろ歩く。そんな夢をかなえることができる場所がある。着物について気軽に相談・体験するなら、きもの すずきだ。
JR湯河原駅から2.7km。見付町(みつけちょう)バス停の正面に同店はある。伝統を内に秘めつつ時代の先を行く外観が道行く人の目を引く。
店内には反物や着物、小物が整然と並んでおり、その光景に背筋が伸びる。
「“着物離れ”のおもな原因は、着物が“フォーマル”ばかりだからではないか」代表取締役・鈴木龍介(すずきりゅうすけ)さんは考えた。
その一方で、安価なポリエステル製の着物を着て写真を撮り、満足されてしまうのも少し違う。
この絶妙な線の上を、きもの すずきは行く。例えば素材の面。すずきは手軽かつ上質なコットン製の着物を推している。
人間の心に浸透していく心地よさは、着るとすぐにわかる。「この感覚が忘れられない」と話すお客もいるそうだ。もちろん、シルク製の着物について相談することもできる。
接客の面にも力を入れている。お客とのコミュニケーションだ。“呉服店”というよりラウンジのような雰囲気は、気軽に立ち寄ってもらうための工夫。
着物は人生に寄り添うことが多い。であるならば、店舗もお客やお客の人生に寄り添う必要がある。コーディネートやメンテナンスなど、いつでも相談に乗る準備を整えている。
着物の敷居を下げ、来店してもらうための方法として、きもの すずきでは頻繁にワークショップを開催している。特に、和文化系のイベントは大人気だという。こういった場や体験をきっかけに、着物に興味を持つ人も大勢いる。
すずきはInstagramとウェブサイトでの情報発信も積極的におこなっている。動画などを使ってさまざまな角度から着物の魅力を伝え、ECサイトでしっかりと説明するという流れも構築されている。
「『かわいく着こなしたい』『カッコよく装いたい』それでいいんですよ。服なんだから」鈴木さんはそう言って、あっという間に観光客の着付けを済ます。要望によっては、お客の洋服を宿泊施設まで届けにいく。
「やっぱり、湯河原に着物は似合う。みんなが着物で街を歩き、飲食店やイベントに行ってくれたら、少しは湯河原に貢献できたって言えるのかな」
フォーマルとカジュアル、昔と今、それらのちょうど真ん中に立って、鈴木さんは温泉街を眺めていた。
きもの すずき
■住所:神奈川県足柄下郡湯河原町宮上459-27
■電話:0465-62-3559
■営業:9:30~18:00
■定休:(日)
■P有:4台(無料)
■決済:現金・カード・電子マネー・QR
■情報:WebSite・Instagram
JR湯河原駅 徒歩34分
「湯河原駅」バス停 → 7分 → 「見付町」バス停 → 徒歩0分