有限会社 亀川石材店
真鶴では本小松石(ほんこまついし)が採掘される。石材の最高級品だ。ゆえに、採石場があり、それを加工する石材店がいくつも存在している。
そんな中で異彩を放っているのが有限会社 亀川石材店(かめがわせきざいてん)だ。創業100年を超える同店は、真鶴の誇り高き素材と文化を過去から未来につないでいる。
真鶴の山中に亀川石材店の加工場がある。重機が行き交う職人の領域のため立ち入りは厳禁だ。今回は取材ということで特別に中に入れていただいた。
4代目社長・亀川洋(かめがわひろし)さん。無口ではあるがおしゃべりが好きという人だ。
亀川さんは高校卒業後、石の産地である愛知県岡崎市の石材店で修業し、夜は専門学校の石材加工科で勉強した。下積みはつらく長いものだったが、それが今の亀川石材店の基礎となっている。
特に、伝統技術である「むしり仕上げ」で作られた一石五輪塔は芸術品だ。
「むしり仕上げ」とは、ノミとセットウで独特の風合いを出す技法のことだ。ザラザラとした感触の五輪塔を見たことはないだろうか。あれだ。あのザラザラはノミの跡だったのだ。
本小松石や石材業界は今、岐路に立っている。その資源が有限であることや、環境へのさまざまな配慮、海外産の安価な商品の流入、石材そのものの需要の落ち込みなど、課題がとにかく山積しているのだ。
そういった課題の解決は一筋縄ではいかない。だからこそ、亀川さんはさまざまな場所に足を運び、本小松石の未来に役立つことを勉強している。
同時に、地域のイベントに積極的に出店したり、什器のデザイナーと共同で雑貨を開発したり、次の世代の使い方も模索している。
「むしり仕上げの魅力を世界に伝えつつ、日本のお墓文化を守っていきたいですね」亀川さんは穏やかな声でニコニコ話してくれた。
彼がいるだけで、本小松石の未来はなんとなく明るいような気がするから不思議だ。
有限会社 亀川石材店
ゆうげんがいしゃ かめがわせきざいてん
■住所:神奈川県足柄下郡真鶴町岩126-1
■電話:0465-68-2738
■営業:9:00~17:00 (ギャラリーは(土)13:00~16:00)
■定休:(土) (日)
■P無:0台
■決済:現金・カード
■情報:Instagram・WebSite
JR真鶴駅 徒歩9分
「真鶴駅」バス停 → 2分 → 「小田原百貨店」バス停 → 徒歩1分