でこぼこファーム
「みんな違って、みんないい」。多様性が叫ばれる現代社会において、それは農作物にも当てはまる。でこぼこファームの柑橘・野菜はまさにそうだ。
でこぼこファームの畑は湯河原の鍛冶屋(かじや)地区にある。海と街を一望し、背後には東海道新幹線が走る。
ここは現園主・竹原知紀(たけはらともき)さんの祖父が遺した土地だ。終戦後、彼らはここで柑橘を中心とした農業を始めた。海と山に挟まれた土地であるため平地が少なく、開墾は苦労の連続だったという。
その結晶がこの石垣だ。当時の人々が積み上げた石垣は、たび重なる台風や地震にも耐え、当時の面影を今に伝えている。
孫である知紀さんはこの風景や農業文化を受け継ぎ、さらに発展させて次の世代につなぎたいと考えて農業の道に進むことにした。2021年春のことだった。
でこぼこファームの基本となるのは200本以上の柑橘の木だ。つい私たちは「みかん」と呼んでしまうが、その種類は数えきれないほどある。晩秋の早生(わせ)や初冬の青島あたりが一般的な「みかん」である。
それ以外にも、でこぼこファームではレモン、黄金柑、バレンシアオレンジ、など、30種類以上の柑橘を栽培している。実は、ほぼ一年中なんらかの柑橘がなっているのだ。
でこぼこファームがこだわっているのは、無農薬・無化学肥料だ。文字にするのはいとも簡単だが、延々と終わることのない酷暑の草取りには心が折れる。収穫間近のブラッドオレンジが寒波の影響で全滅したこともあった。
しかし、「安心・安全でおいしい」の信念は絶対に曲げない。冒頭で“個性豊かな作物”と記したが、個性が一番強いのは竹原さん自身かもしれない。
いわゆる若手農家の部類に入るでこぼこファームだが、すでに引く手数多だ。フルッソストア湯河原店とフルーツカードを共同開発したり、地域の名だたる有名店に素材を卸したりしている。高まる期待にこたえるため、農地を広げたり野菜を作り始めたり、試行錯誤は続いている。
同時に、若手らしくECサイトやSNSの積極的な展開や、体験・見学ツアー、援農(えんのう=手伝う代わりに農業の勉強ができる制度)などにも力を入れている。「湯河原の農業は儲かる!楽しい!それを証明したい!」その意気で竹原さんは今日も汗を流している。
でこぼこファーム
■住所:神奈川県足柄下郡湯河原町鍛冶屋
■電話:なし
■営業:見学・援農開催はInstagramを参照
■定休:-
■P無:0台
■決済:-
■情報:Instagram・Facebook・STORES
JR湯河原駅 徒歩25分
「湯河原駅」バス停 → 6分 → 「鍛冶屋中央」バス停