万葉公園
木漏れ日とせせらぎの中を歩く。ただそれだけで、心が落ち着き、体に力がみなぎってくる。万葉公園(まんようこうえん)周辺を散策してみよう。
JR湯河原駅からバスで9分。落合橋バス停で下車する。左斜め前に見える大きな建物は湯河原惣湯 玄関テラス。今回の散策の始まりとなる場所だ。
一帯はもともと、熊野(権現)神社に由来する「権現山公園」と実業家・大倉孫兵衛の湯治用別荘地「大倉公園」が並立する場所だった。
1951年に国文学者・和歌研究者である佐佐木信綱の提案によって「万葉公園」へと改められた。

入口付近の滝(新緑の頃)

入口付近の滝(紅葉の頃)
名称が万葉公園となったのは、湯河原温泉が『万葉集』に詠まれたから。しかも、温泉を題材にした歌はそれ一首のみで、具体的な場所も現在の万葉公園周辺とされている。湯河原温泉の歴史や由緒を考慮すると、「万葉公園」は実にいい名前だ。
万葉公園周辺は何度も整備がおこなわれ、2020年から1年をかけた大規模整備事業を経て現在の形になっている。

緑の中に狸福神社の鳥居の朱が映える

遊歩道の一段高いところに熊野神社はある
遊歩道はわずか300mほど。その真ん中あたりに狸福(りふく)神社がある。「傷ついた雄タヌキと雌タヌキが温泉で傷を癒やし、夫婦となって人間に化けては温泉の素晴らしさを説いている。人々の願いをかなえ、温泉を守り続けている」という伝説にちなんだ神社だ。
遊歩道を奥まで歩くと見えてくるのが湯河原惣湯 惣湯テラス。予約制の施設で、温泉や昼食(曜日によっては夕食も)楽しむことができる。

温暖な気候のせいか温泉の湯気のせいか紅葉の見頃は12月に入ってから

千歳川の真横には“もうひとつの遊歩道”が
そこから折り返すことになるが、実はこの遊歩道は川沿いに下りることができるようになっている。清流をすぐ真横に感じつつ歩いたり、途中にあるイスで自由に休憩したりできるのだ。“帰り道”はぜひこちらをご利用いただきたい。

写真からもマイナスイオンが漂ってきそう

周辺には『万葉集』に詠まれた約80種類の植物が植えられている
そして、入口に戻ってきたら無料の足湯でひと休み。あのタヌキの夫婦に感謝しながら。
万葉公園
まんようこうえん
■住所:神奈川県足柄下郡湯河原町宮上566
■電話:0465-63-2111(湯河原町役場 観光課)
■P有:無料23台 / 有料12台
JR湯河原駅 徒歩43分
「湯河原駅」バス停 → 9分 → 「落合橋」バス停 → 徒歩1分